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『万葉集』に最も数多くの詩歌に詠まれたハギは大半がヤマハギなど野生種と思われる。ヤマハギは野生のハギを代表するもので、日本全土に分布し、草地や山地の斜面などに生える。小さな低木で、多数の枝を出し茂り秋に多数の小さな花が群れで咲く。花の大きさは全長1センチにも満たないもので、株一面に開いたヤマハギは一目を引き、秋の訪れを知らせたのであろう。ヤマハギは典型的な虫媒花で、マルハナバチやミツバチなどに花粉が媒介される。五つの花弁が形と機能を異にする三つの郡に分かれた左右相称で横向きに咲く花を持つ。中心線から上方にある花弁はひとつで「旗弁」と呼ばれ、昆虫を花に誘う。他の四弁は下方に位置し、おしべとめしべを挟み左右で対となり、翼弁と龍骨弁と呼ばれる。ハギの仲間は異種との間で遺伝子的な隔離があまり進んでいない。昆虫が一度ヤマハギで吸蜜をはじめるとしばらくはヤマハギだけから蜜を吸うからだ。また、生育場所が異なることも理由としてある。自然状態では日なたを好むマルバハギ、半日陰を好むキハギは隣接しない。ハギの雑種としてオクタマハギがある。道路工事などで林が開かれるとマルバハギとキハギが同居することがあり、このような自然の攪拌が生み出したものだが森林の回復とともにやがて消滅していくことになる。自然の摂理には驚くものがある。
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