最古の木簡が示す万葉仮名文
・毎日新聞2006/10/27
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難波宮跡から発掘された木簡が最古の万葉仮名を記したものとして話題を呼んだ。この木簡は難波宮跡の南西隅に近い場所から見つかったもので「皮留久佐乃皮斯米之刀斯」の11字が読み取れる。長さは18センチあまりで下端は折れ、字画の一部が残るのでまだ下に文は続いていた。この木簡は難波宮が作られる直前の造成で埋め立てられた土の下から出てきるので年代が7世紀半ばと限定できる。漢文ではなく漢字を使って和文を書いたもの(国語学者毛利正守氏の判断)で「はるくさ(春草)のはじめのとし(年)」という万葉仮名と考えられる。日本では近年まで、「最初漢文が入り、漢文をまねて崩れた和風の漢文が書かれるようになった。その後、より正確に日本語を写せるように送り仮名をいれるようにし、さらに一字一音で書くようになった」という説が有力であった。一字一音の表記は7世紀末の柿本人麻呂以降とする意見もあるが、私はこのような「発展」説に疑問を抱き、古くから様々な書き方があり、目的に合わせ同時併用されたという研究を発表してきた。今回の木簡は私の考えに強い援軍となった。すでに7世紀半ばに仮名文があったことを示されることは日本語の歴史にとって誠に意義深い発見である。(奈良大学教授 日本古代史 東野治之)
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